日本の盲点は、海外と比較して「足らない」部分に目が行きやすいことにあるのではないか、と思っています。少なくとも、僕はそうでした。例えば、海外駐在初年度に国際感覚や多様性の感度が低くて、日々そればかりに目がいって周囲に追いつこうとする感じ。

ただ、海外駐在2国目のベルギーに赴任しているときに、痛烈に多様性では彼らには負けるなと感じました。ベルギーは北部がフラマン語(オランダ語にほぼ近い)、南部はフランス語、東部の一部はドイツ語と3各国語を公用語としています。彼らは、子供の時にすでに同じ年頃の子で自分の言葉が通じない子たちが公園で遊んでいるんです。しかも、ゲルマン民族(北部)とラテン民族(南部)の融合する国で欧州の縮図なので、言葉だけでなく、何かと文化も違う。それでも国は同じ。オフィスでも両方の言語が飛び交い、会話に参加する構成員次第で喋る言語をスイッチする。誰が何語を喋るかを把握しているわけです。僕が入れば英語にスイッチ。

そんな「そもそも周囲と自分は違う」と思っている人たちと、「周囲と合わせるべきだ」の教育を受けた自分の間に多様性の感度が同じわけはない!というのが僕の意見です。グローバルな土俵の上では、弱みを埋める努力はもちろんしますが、最終的に「足らない」ところの穴埋めはほどほどにして、「自分はどこで強みを発揮するのか?」という自分の長所をよく考える必要があります。結局、グローバルな環境では、自分の長所を発揮しようと思うと、結局「日本で受けた教育での長所」が自分の長所になるケースが多い傾向です。

僕は、人種不問の究極のグローバル環境である欧州のサッカーリーグで活躍する日本人サッカー選手の言動に常に耳を傾けています。出てくる言葉は、「個が強くなければ」。その通りです。一方、プレーを見ているとチームのために献身的に走っている選手が多いですね。「チームワーク」、「勤勉」、「連帯」、「自己犠牲」が目につきます。長谷部選手のチームへの献身はブンデスリーグでも有名で、昔、試合の中の事情でゴールキーパーをしたこともあります。笑 今回のサッカーW杯での日本代表の戦い方は、チーム全体で連動しながら、チームのために走り回って、時に自己犠牲も負いながら、ハードワークする戦い方で勝ち上がりました。この戦い方、他の国に簡単に真似できるのだろうか。僕は、良い悪いはさておき、ビジネスでも同じようなところに日本人の強みを見出しています。もちろん日本人みんながそうではないですが、何かと全体を俯瞰しつつ外国人が詰めが甘くて見えていない穴を埋める役回りを担いやすいと感じています。

これから日本にいてもグローバルな環境に巻き込まれる時代、「自分は何が強みか?」を理解した方がよい。グローバルの土俵だと日本で埋もれていた長所が、実は価値になったりします。グローバルにやっていける子供の教育も、「足らない」ところを見るのではなく、「足りる」ところを見て伸ばすこと。補足ですが、「足らない」ところに目が行くのは、脳科学上、防衛本能からそうなります。意識して「足りる」部分をみる訓練をしないと「足りる」を見るようにはなりません。欧米は「足りる」を見る教育をしていますね。

あなたの考える、「日本の素晴らしい所はどこですか?」

LIFE SHIFT JAPAN株式会社
玉本潤一