ラグビー日本代表は、多くの方がご存知の通り、強敵と互角に戦って、2019年大成功を収めました。

コンタクトスポーツで日本が互角に戦っている姿を観れるとは、全く想像していませんでした。

いろんな困難や恐怖を克服しての成果だと思います。

その試合の後のインタビューの中で、一つ気になったこと。

「たくさんの犠牲の上の勝利」

という言葉。

家族との時間を割いて、厳しい練習に明け暮れていたと思いますので、相当な犠牲感もあったと思います。

ですが、一般の方が文字通りに読んで、それを美徳と捉えて欲しくないなと思います。

自分のことを放っておいて、自分を満たさずに、状態を悪くして、犠牲を伴うことを美徳とする、そんな社会や組織であっては、幸せは訪れません。

また、スポーツの世界と一般の世界で違いがあります。

スポーツの世界は、ルールの決まった同じ価値観の人が集まる土俵、短期で成果を出す勝ち負けの世界。

一般の世界は、ルールもいろいろ、人もいろいろ、ゴールは幸せ、分かち合いの世界。

スポーツの世界で、時に発奮材料としてそういった「犠牲」という言葉を使うのは有効です。

ですが、一般の世界は、原則は分かち合いの世界。

あのメッセージの「人はやればできるんだよ」という真意を、正しく受け取って欲しいです。

職場でも、忙しそうな人が、一生懸命生きているように見える。

むすっとしている人が、真剣に仕事しているように見える。

長時間労働している人が、仕事を一生懸命しているように見える。

家族を犠牲にして、土日も仕事をしている人は仕事にコミットしている風に見える。

スケジュールがびっちり入っている人が優秀な人に見える。

なんなんでしょうね。

私の所属した海外子会社に、過去から日本人駐在員が派遣されていたので、現地の人々は日本人慣れしていました。

彼らは日本人をよく知っていますが、気を使ってその本音を言わなかったんです。

私は、現地のマネジメント層もスタッフ層もどっぷり入り込んだ自負があり、彼らの本音をよく聞きました。

「Tama、なんでいつもMr.〇〇は不機嫌なんだ?笑わないんだ?」

「Tama、なんであんなにMr.〇〇は走っているんだ」

「Tama、日本人は遅くまで仕事して、家族はなんとも言わないのか?」

「その日、その日の状態が良いこと(ご機嫌なこと)」が価値観の上位にあり、17時にはほとんど寄り道せず家族の元に帰る彼らにとっては、何やら不自然なのです。

ですが、日本人の価値観とここで微妙なズレがあります。

私は欧州の全てがすばらいしと言いたいのではありません。

トップの状態の良し悪しが従業員のやる気を引き出します。

逆に従業員の状態が良いと、社長も状態が良くなり、やる気を引き出します。

その起点は、やはり経営者です。経営者の状態は伝播します。

状態を犠牲にして何かを得ようとすること、不安や苛立ちを抱えた状態から早く抜けませんか。

ステートファースト!(状態を最優先で生きる!)