さて、私も海外赴任で沢山の失敗を経験した人間です。

初年度は、27歳の若造でしたが、どんな環境でも適応できると息巻いていました。

実際は、ドイツ現地組織に入るのに壁は高く、経営の本質もわかっておらず、ドイツ語の喋れない私は毎週のドイツ語の会議にポツンと出席していました。

ちょうどコニカとミノルタの統合直後の組織のゴタゴタや歴史的に日本からの赴任者に対する信頼が低かったこともあり、現地のマネジメントから総スカンの状態でした。

ひどい時はドイツ人社長に会議が終わった瞬間に私の提案書をびりっとやぶられたこともあります。漫画じゃあるまいし。

1年目は、一人で悩みうつ病寸前まで行きかけていました。

海外でビジネスする上でのノウハウ教育も特に受けず、どこか上から目線で赴任したことが大きな原因でした。

事情を理解してくれる人もおらずただただ辛かったですが、まずは、現地組織にまず人として認められることを考えて、やっていきました。

これがきっかけで自己流でコミュニケーションを模索し、磨き続けていました。

そんな中、赴任1年後のある寒い雪の降る日にクリスマスパーティがありました。

パーティーも最高潮に盛り上がる傍で、そのドイツ人社長から言われたんです。

「Tama、お前みたいなオープンマインドな日本人は初めてだ。マネジメント、社員全員、お前を好きだし認めている、頼むぞ。」

アルコールも手伝って、トイレに駆け込んで号泣した時の熱い気持ちを今でも鮮明に覚えています。

その時に、外国人と心からわかり合うには、人として、どんな状況でもオープンマインドであり続け、こちらが相手の国や相手自身を尊重し続けることが非常に大事であると確信しました。

そして、外国人と心から分かり合えれば、仕事は自ずとできるようになります。

大げさに言っているのではなく、人種の違う人々と心からわかり合えること、それは人生の大きな喜びの一つです。

また、この世から亡くなるまで強烈な自信となってくれると思います。

ぜひ、海外赴任を目前としている皆様におかれましては、海外でマネジメントする技術もさることならがら、まず、今までの経験、役職という看板を手放して、人として、彼らと真剣に関わってみていただきたいと思います。