あるベンチャー社長は、同時並行で新規事業を5つ立ち上げられていました。事業開発を楽しんでいて、ビジョンは何百と事業を生み続ける集団、を掲げていました。
  
なのですが、「どうも従業員が自分の思うレベルで動けない。でも年収の高い人材を雇うことができない。そこで雇った若手社員を育成しても、これからのタイミングで辞める。思うスピードで事業を展開できない」、と頭を抱えていました。
  
淡々と練りに練られた事業モデルの説明をされていて、置かれる環境を客観的に見えてらっしゃる。周囲の指摘も受け止めていて、自己分析もできている。

「でしたら、思うその通りに進めてはいかがでしょうか」と言いたくなるのですが、これだけお話していただけるということは何かあります。さらにお話を続けると、どこか違和感を覚えてきました。どうも画面越しにもステート(感情状態)が悪く、焦燥感やイライラが募っています。どこか画面越しにこちらが怒られているかのようです。
  
「スッキリしませんか?仮に、一つメイン以外全部の事業をやめたとしたら、何が起きますか?」とご質問をしました。
  
その質問を待ってらっしたのでしょう。
  
「・・・・・・・・・・・・、ですよね。一旦、〇〇事業と〇〇事業は畳みます。」
  
さらっと仰いましたが、大きな決断でした。
  
ステートを崩してビジョンに引きずられている状態での経営判断は、NGです。脳科学上も動物的で危機回避を司る大脳辺縁系が優位に働いているので、決断が反射的になり、決断能力が大きく劣ります。そのような時の兆候としては、組織が高揚してない、周囲の人が離れるということが起こります。
   
周囲の人が離れている時は、一旦、ビジョンに執着しすぎずステートに意識を戻す。「経営判断に感情を差し挟むな」という言葉もありますが、人が離れている時は、差し挟んだ方がよいです。
   
経営判断をするにあたり、「何をどう決定するか」も大事ですが、「どのステートから決定するか」が実は大事。判断の内容が変わります。
  
おかげさまで、この社長のステートは、私の知る彼らしいエネルギー高く、人に可愛がられるステートに戻り、良いビジネスパートナーが就き、残した事業で益々結果を出しています。
  
仮に、「あなたの100億円で良いステートを売ってください。」と聞かれたら、どう答えるでしょうか。もし、売ってくれたら未来永劫、苦しいステートで生きることになります。

おそらく、多くの人が良い感情を売らないわけです。であれば、もっと日々のステートを大事にしたらどうでしょうか。
 
日々、「今、どんなステート?」と自分に聞いてみましょう。
社長も人間、です。

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